不育症
いったん妊娠しても、残念ながら流産になってしまうことがあります。
多くの場合、流産の原因は受精卵にたまたまできた染色体異常であると考えられていますが、一部の方は流産しやすい原因や体質をもっており、その原因に合わせた治療を行うことで、次の妊娠での流産率を下げることができると考えられています。
内分泌異常
高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、黄体機能不全などのホルモン異常、糖尿病などの代謝疾患などは流産率を上げることがあるとされています。この場合、ホルモン値の是正や原疾患のコントロールを行うことが、流産率を下げることにつながります。
子宮形態異常
先天的な子宮奇形の一部(中隔子宮など)、粘膜下子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内腔の癒着などは流産の原因となることがあります。一部の症例には手術をおすすめすることがあります。
抗リン脂質抗体症候群(血液凝固機能異常)
抗リン脂質抗体症候群と呼ばれる血液凝固機能異常を示す疾患があり、この診断にあたる方は流産率が高くなることが示されています。
症状および血液検査によって診断し、必要な場合、血液を固まりにくくする抗凝固剤を使用することによって、流産率を下げる治療をすることがあります。
染色体構造異常
染色体は体の設計図である遺伝子の入れ物です。
不育症と診断されたご夫婦のいずれかの染色体に小さな構造変化が存在する場合、精子または卵子に一定の確率でその構造変化が引き継がれ、結果として受精卵に遺伝子の過不足が生じることにより、流産となる場合があると言われています。頻度的には多くないとされていますが、不育症と診断された場合、ご夫婦の染色体検査を行うことがあります。